不安が尽きない老後の資金問題とは?
近年、日本における老後資金への不安が急速に高まっています。
かつては「年金があるから安心」と考えられていた時代もありましたが、少子高齢化や年金制度の見直しにより、老後に必要な資金は「自助努力」で準備することが求められています。
金融庁の報告書でも、「老後に2,000万円が不足する可能性がある」と指摘され、世間を騒がせました。
本記事では、老後資金の必要額や準備方法について分かりやすく解説します。
老後に必要とされる生活費はいくらか?
まず、老後にかかる生活費について見ていきましょう。
総務省の家計調査によると、夫婦2人の無職世帯における月平均支出は約23万円程度とされています。
これには食費・光熱費・住居費・医療費・娯楽費などが含まれます。
一方、夫婦2人の公的年金の平均受給額は月に約20万円前後と言われています。
つまり、単純計算でも月に約3万円の赤字が発生し、それが20年続けば約720万円の不足、さらに突発的な医療費や介護費用を考えると、1,000万円~2,000万円程度の準備が必要となるわけです。
公的年金はあてにできるのか?
公的年金は老後の生活を支える大きな柱のひとつですが、「それだけで安心」と言えないのが現実です。
年金額は現役時代の収入や納付期間に左右されるため、非正規雇用が多かった方や、年金未納期間がある方は、受給額が少なくなる傾向にあります。
また、制度の持続可能性の観点から、今後も給付水準が引き下げられる可能性があると考えられます。
したがって、公的年金に加えて「自分年金」を準備する必要があります。
老後資金を準備する方法とは?
老後資金を準備するには、いくつかの方法があります。まずは積立型の金融商品です。
たとえば「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などは、税制優遇を受けながら将来の資産形成が可能な制度です。
特にiDeCoは老後資金専用の制度であり、拠出額が全額所得控除されるなどのメリットがあります。
次に考えたいのが企業年金や退職金の有無です。
勤務先によっては厚生年金の上乗せとして企業年金制度が整備されている場合があります。
また、退職金の額によって老後のスタート地点の資金状況が大きく異なるため、事前に確認し、必要に応じて補完策を講じることが重要です。
生活設計の見直しが重要
老後資金を考える上で最も重要なのは、現実的なライフプランを描くことです。
具体的には、以下のような点を明確にしておくことが大切です。
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いつまで働くか(定年後も再雇用などで収入があるか)
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住宅ローンの完済時期
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子どもの教育費や結婚費用などの支出予定
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趣味・旅行などの希望する生活水準
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介護が必要になったときの対応方法
これらを明確にすることで、必要な資金の総額が見えてきます。
生活水準を少し抑えるだけでも、老後の支出は大きく変わるため、見直しの余地は多いにあります。
老後破産を防ぐために
老後の生活において最も避けたいのが「老後破産」です。
これは、年金や貯蓄だけでは生活が立ち行かなくなる状況を指します。
防ぐためには、以下のポイントが大切です。
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現役時代から計画的に貯蓄する
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固定費(特に住居費)を抑える
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無理のない範囲で資産運用を行う
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健康管理を怠らず医療費・介護費の発生を抑える
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詐欺や高額商品販売などから身を守る知識を持つ
特に近年は高齢者を狙った詐欺が増加しており、財産を失うリスクも考慮する必要があります。
まとめ:今からでも遅くない、老後資金の準備を
老後資金の準備は、できるだけ早く始めるに越したことはありません。
しかし、50代・60代からでも決して遅すぎるということはありません。
今の生活と将来の希望を見つめ直し、「何が本当に必要か」「何を削れるか」を見極めることが、安心できる老後への第一歩です。
老後は「第二の人生」とも言われます。
その時期を前向きに、そして心豊かに過ごすためにも、今からしっかりと準備を進めていきましょう。