熱中症対策で水を飲みすぎると危険!水中毒の症状と予防法

日常、習慣

こまめな水分補給の落とし穴「水中毒」とは?

熱中症対策で注目される「水分補給」

夏が近づくと、テレビやインターネット、職場の掲示などでも「こまめに水分補給をしましょう」と呼びかけられることが多くなります。

特に熱中症予防として、水やスポーツドリンクを定期的に摂ることは重要とされています。

しかし、「水分を摂れば摂るほど良い」という誤解から、体に悪影響を及ぼすケースも存在します。

その代表例が「水中毒(みずちゅうどく)」です。

水中毒とは? そのメカニズム

水中毒とは、大量の水を一度に、あるいは短時間に摂取しすぎることで、血液中のナトリウム濃度が異常に低下する状態を指します。

医学的には「低ナトリウム血症」とも呼ばれます。

人の体は、一定のナトリウム濃度を保つように調整されていますが、水を過剰に摂取することで体液が薄まり、ナトリウム濃度が低くなってしまいます。

この状態が進行すると、細胞が水を過剰に取り込み、特に脳の細胞が腫れ、命に関わるような症状を引き起こす可能性があります。

水中毒の症状とは?

水中毒の初期症状は、軽い頭痛や吐き気、倦怠感など、他の体調不良と区別がつきにくいものが多いです。

しかし、症状が進行すると次のような深刻な状態に至ることがあります。

  • 頭痛の悪化

  • 嘔吐

  • 意識障害(混乱、判断力の低下)

  • けいれん発作

  • 昏睡

最悪の場合、脳に水が溜まり「脳浮腫」となり、命を落とす危険性もあります。

どんな時に水中毒が起きやすいのか?

水中毒は、以下のような状況で起きやすくなります。

  • 暑さに備えて過剰に水を摂っているとき

  • 激しい運動やマラソンなどで水だけを大量に飲んだとき

  • スポーツ中、塩分補給を怠ったとき

  • トイレに行くのを我慢したくないために、無理に水を飲んでいるとき

特に注意が必要なのは、「汗を大量にかいたのに、水しか飲まなかった」場合です。

汗と一緒にナトリウムも排出されているため、体内の電解質バランスが崩れやすくなります。

どのくらいの水分摂取が危険なのか?

水中毒が起きる具体的な水分量は体格や体調によって異なりますが、一般的には1時間あたり1リットル以上の水分を連続して摂取することが危険とされています。

健康な成人であっても、数時間で3~4リットルの水を飲めば、水中毒のリスクが高まります。

正しい水分補給の方法とは?

水分補給はもちろん大切ですが、バランスとタイミングが重要です。

以下のポイントを意識することで、安全に水分補給を行うことができます。

  • 1回あたりの水分摂取量はコップ1杯(約200ml)を目安にする

  • 1時間に1~2回程度の頻度でこまめに補給する

  • 長時間の運動や炎天下では、スポーツドリンクや経口補水液を活用する

  • 味噌汁やスープなど、ナトリウムを含む食事も取り入れる

また、「喉が渇く前に飲むこと」が基本ですが、極端に無理をして飲みすぎないことも大切です。

高齢者や子どもにも注意が必要

水中毒は、体内の水分バランス調整能力が低下している高齢者や、体が小さく水分調整機能が未発達な子どもにも起きやすいです。

特に介護現場では、「脱水を防ぐために」と水を多めに与えてしまい、水中毒を引き起こす例も報告されています。

最後に:適切な水分補給で夏を安全に過ごす

「水分補給=健康に良いこと」というイメージが強いですが、過ぎたるは及ばざるがごとし。

水も摂りすぎれば毒になることを理解しておくことが大切です。

水中毒は珍しい症状ではありますが、意識的に水を飲みすぎる人には十分に起こりうるリスクです。

この夏は、暑さに備えてしっかり水分を摂りながらも、自分の体調や運動量、汗のかき具合などを見ながら、適切な量を意識して補給していきましょう。

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