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給付付き税額控除とは?その基本仕組みを解説
給付付き税額控除とは、税金の控除と現金給付を組み合わせた新しい税制の仕組みです。
例えば、控除額が15万円で所得税が10万円しかない場合、差額の5万円が現金として給付されます。
従来の税制では、所得が低い人ほど控除の恩恵を十分に受けられませんでしたが、給付付き税額控除では「税を払えない人にも支援が届く」という特徴があります。
この制度は、働く人を支援しながら格差を是正することを目的としており、将来の日本税制改革で注目を集めています。
制度の目的:働く人を支え、格差を是正する
給付付き税額控除の目的は主に3つあります。
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所得再分配の強化
低~中所得層の手取りを増やし、生活の安定を図ります。 -
働くインセンティブの向上
「働いた人が報われる」仕組みを作り、労働意欲を高める効果が期待されています。 -
消費税の逆進性対策
所得が低い人ほど負担が重くなる“逆進性”を軽減する役割も持ちます。
これらの要素を合わせて考えると、給付付き税額控除は「働く人を支える税制の新しい形」といえるでしょう。
アメリカの成功事例:EITC(勤労税額控除)
アメリカでは「EITC(Earned Income Tax Credit)」という制度がすでに長年運用されています。
これは働く低所得者を対象にした税額控除+給付制度で、所得・扶養家族の数によって支給額が変わります。
たとえば、子どもがいる家庭では控除額が大きく、年収が一定以下であれば現金給付も受け取れます。
EITCの効果として、
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貧困率の低下
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子育て家庭の支援
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働く意欲の向上
が報告されており、アメリカの社会政策の中でも成功例とされています。
ただし、制度が複雑なため、申告漏れや不正受給のリスクも課題として残っています。
イギリスの事例:ユニバーサル・クレジット
イギリスでは、かつての「ワーキング・タックス・クレジット」制度を統合し、現在はユニバーサル・クレジット(Universal Credit)が導入されています。
これは税制と社会保障を一体化した給付制度で、収入が増えると支援額が段階的に減る仕組みになっています。
そのため、「働くほど手取りが増える」というモチベーション設計がされています。
しかし導入初期には、申請手続きの煩雑さや支給の遅れが問題となり、制度移行時の混乱が起きました。
この経験から、日本でも将来的な導入時にはシンプルで分かりやすい運用設計が求められます。
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日本での導入検討と課題
日本では、給付付き税額控除の導入がたびたび議論されています。
特に注目されているのは、働く世代・子育て世代・非正規雇用層への支援です。
検討課題としては以下の点が挙げられます。
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個人単位か世帯単位か(結婚・扶養の扱い)
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給与所得以外の副業・事業所得をどう扱うか
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所得把握の仕組み(マイナンバー等の連携)
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財源確保と制度の持続可能性
また、社会保険料や住民税との整合性をどうとるかも重要なテーマです。
導入された場合の影響 ― 働く人が得するポイント
給付付き税額控除が導入されれば、特に年収300万円以下の層や子育て家庭にとって恩恵が大きいと考えられます。
フリーランス・副業者なども対象に含まれる可能性があり、申告内容によっては実質的に「年収アップ」となるケースも。
一方で、所得の申告を怠ると給付を受けられないリスクもあります。
そのため、正確な確定申告と収入管理が今後ますます重要になるでしょう。

まとめ:給付付き税額控除は「働く人を応援する税制」
給付付き税額控除は、単なる減税でも給付金でもありません。
「働く人が報われる社会をつくる」ための、新しい税制の形です。
海外ではすでに成果を上げており、日本でも導入されれば、格差是正と労働支援の両立が期待されます。
今後の税制改革を見据え、自分の所得や働き方を把握しておくことが、時代を先取りする第一歩です。
給付付き税額控除は、近い将来“日本の税制の常識”になるかもしれません。
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